構成になってネタとして多くのメディアやCMにまで登場した「大魔神」
でもこの作品を観た人ってどのぐらいいるのでしょうか?
今回は、1966年(昭和41年)に大映が製作・公開した日本映画の特撮時代劇シリーズ
「大魔神」をご紹介します。
あらすじ
戦国時代、丹波の国(現在 京都府)の領主・花房家は、家老の大館左馬之助一派の下剋上によって幼い忠文・小笹兄妹の2人を残して滅ぼされ、領民たちは砦の建設のために苦役を強いられることになってしまった。
花房の兄妹は忠臣・小源太の叔母で魔神の山の魔神阿羅羯磨(あらかつま)を鎮める巫女の信夫の下に身を寄せ、お家再興の機をうかがう。
月日は流れ、忠文と小笹はそれぞれたくましい若者と美しい娘に成長していた。一方、彼らの潜む魔神の山には巨大な武神像があり、領民たちから篤く信仰されていた。
これを快しとしない左馬之助は、忠告に上がった信夫の「このまま領民たちを苦しめ続けたら魔神による神罰がある」という言葉を嘲笑い、「神罰があるなら見せてみよ」と信夫を斬り殺し、こともあろうに山中にある武神像の破壊を配下に命じた。小笹が捕まり、その眼前で武神像の額に深々と鏨(たがね)が打ち込まれた。すると、鏨の傷から赤々とした鮮血が滴り始めたのである。同時に起こった地震、地割れ(武神像の祟り)の中、左馬之助の手の者たちは次々に地割れに飲み込まれていく。
怒り鎮まらぬ武神は、忠文の命乞いに身を捧げようとした小笹の眼前で動き出し、穏やかな相貌を憤怒の相に変えるや、光の球となって砦の建設現場へと向かう。折しも砦では、花房家最後の望みである忠文と小源太の磔処刑が執行されようとしていた。絶望し、ただ神に祈るのみの領民、そして勝ち誇る左馬之助の前へ、妖しく曇った天空から一点の光が地上に落ち、突如それは巨大な魔神の姿となった。
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特撮なので子供向け?
と思いましたが、いえいえ そんなことはありません。
時代劇と特撮
大映としては、ガメラシリーズの特撮ノウハウをお得意の時代劇に組み入れることで 新しい可能性を開いたと言えます。
特撮=子供向け
と考えられていたこともあって
1966年(昭和41年)4月17日公開。併映作は『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の併映作品だった。
しかし、時代劇として丁寧に描かれているので 「ガメラは子供の味方」とはちょっと違うんだよね。
もっとも『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』を観に来た子供達は、火球もないし、怪獣プロレスもない「大魔神」は退屈だったのではないでしょうか?
大人達にとって『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』のおまけのように上映されたこの作品
「エロ要素もない」し 時代劇にしては単純な話 なので少し物足りないと感じたかも知れません。
当たるかどうか?
実験的な意味合いがあったかも知れません。
でも面白いよ
DMM.TVで入会(サブスク)していれば課金なしで視聴できます。
デジタルリマスターさあれているかどうかわかりませんが、半世紀前の映画がこれだけクリアで観ることができるなんて素晴らしい時代になった物です。
ここからは、個人的な感想なんですが、
「面白い映画」
と言っていいでしょう。なにより 時代劇初心者でもわかりやすいストーリー展開、1960年代の映画としても飽きずに観ることができる映画になっています。
「大魔神」シリーズ(と言っても3作しかないのですが)のお約束で、領主(と言うか権力者)に搾取され、苦しまされている状況で「ギリギリ」まで追い込まれた人々が「娘さん」(っこの映画の場合 謀反によって負われている姫)が命をかけてお願いしているところで 大魔神が復活し怒りの鉄拳(というより 悪の城)をくだす。
というお約束です。
今回は、処刑されようとする兄とそのお付きのために滝に身を捧げようとしたことがきっかけでした。
結局、悪に対して大魔神がこらしめに行くのですが
ちょっと まって・・・日本古来の神の要素がきちんと入っていることに注目です。
大魔神が怒った本当の理由
大魔神が、「小笹(謀反で逃げた姫)」の命がけの願いで「大魔神」が動き出した・・・
と普通の人は思うのですが、いえいえ
大魔神は、自分に対して「クイ」を打ち込んだ人間に怒りをもって暴れた
と思います。
なぜなら、大魔神が、処刑されそうな「小源太(武尊にあった忠臣)」と「忠文(若君)」が処刑されそうになるんですが、「忠文(若君)」の縛られていた十字架?を無造作に投げ捨てて(結果的に)助けています。
もし「大魔神」が正義も味方だったら 投げ捨てるような乱暴なことはしない。
と思うんですよね。
悪の首謀者の左馬之助を自分に打ち込まれた杭で刺し殺した後、今まで自分をあがめていた村人を踏み潰そうとして暴走していました。
挙げ句の果てに「小笹(謀反で逃げた姫)」を踏み潰す寸前まで我を忘れていたのです。
結局、「小笹(謀反で逃げた姫)」の命がけの願いで 「大魔神」は我に返り去って行く
めでたしめでたし・・・
ということになるんですが、
「大魔神」自分の額にクイが打ち込まれたことに怒って暴走したんじゃないのか?
搾取&苦役をさせられてる村人や、殺されそうな「小源太(武尊にあった忠臣)」と「忠文(若君)」を助けるためではなかったんじゃないと思うんだよね。
確かに「小笹(謀反で逃げた姫)」の命がけの願いがトリガーなんだろうけどね
オススメ映画
ここまでいろいろと言ってきましたけど
「大魔神」
面白いです。
時代劇+特撮という「赤影」にも繋がる試みでした。
「赤影」は子供向けですが、「大魔神」はあきらかに大人向けとして本格的時代劇として制作されていました。
大映はこのあと『大魔神怒る』『大魔神逆襲』と三作作成したのですがシリーズはここで終了
一作目であるていど成功をみて二作目は、「女性が刑台」でピンチになったところに大魔神というさらに大人向けに作成されたのですが、『大魔神逆襲』で子供向けに降ったためシリーズが終わったのではないか?
と思うのだがいかがでしょうか?
三部作は、DMM.TVをオススメします。
ぜひ 昭和の「傑作時代劇」と「暴走する神の姿を目撃」を愉しんでほしいと推薦します。
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